ネコと紫の日記帳

ひたすら己の趣味の備忘録。読んで下さる方ありがとうございます。

キャラメルボックス『スロウハイツの神様』再演・2

(完全ネタバレ注意)

結構時間が経ってしまったけど、せっかく途中まで書いたので。たぶんまた思い付いたことからしか書いてないので、読みにくかったらすみません。

とりあえずどうしても書きたかったこと。山本さん(2回目)、あのタイミングで出てくるのずるくない!? あんなボロボロ泣かされてる中で出てきたら笑っちゃって仕方なかったですよ! 「やられたー!」ってなりましたよ! 1回目も面白いのは面白かったけど、あのタイミングで2回目だから笑っちゃったの! あーもう、さつきさん好き…! さつきさんも4役だよ、すごすぎるよ。『凍りのくじら』買って読みます。(芦沢さんの高校生の頃なんですよね?)

すべての事情を無視して言うと、やっぱりこの物語は休憩ありの2時間半とか3時間でやってほしかったなと。(『ゴールデンスランバー』でも感じたけど)2時間では足りなかった。原作読んでない人に2時間で伝わったのかなとちょっと心配。(実際私はビデオライブだったとはいえ伝わらなかった)

確かに環とコウちゃんに焦点を当てたみたいなことを成井さんが初演の時に言ってた気がするけど、でも原作は1人ずつ主役みたいなものだし、そもそも成井さんの脚本の持ち味が「物語の主役以外にもちゃんとそれぞれの人生がある」ところだと私は思っているので。そこを切っちゃうのはすごく勿体なかったなあと。

自分で書いて思ったけど、そうだよ、コウちゃんも最後以外は脇役みたいなもので、最後の最後に主役が回ってくるわけで。せっかく生身の体に魂が入るなら、それぞれの役が主役として動くところが見たかったなあと。

狩野君の漫画を読んで環がうっかり泣かされてしまうところも見たかったし、スーと環が五十嵐アパートで言い合うところも見たかったし、スーがスロウハイツに帰ると決断して五十嵐君と言い合うところも見たかった。飲まず食わずでぶっ倒れてた環の家に押し掛けて味噌汁作ってあげるところも見たかった。

舞台だけだとスーの魅力が全然伝わってない気がする…。あの子、ちゃんと自分の足で立ち上がったんですよ。そりゃ、付き合った男をダメにするタイプだとは思うけど。(途中までは)

マサ君は原作だとすみれをそんな下に見てなかったような気がしたんだけど、どうだったっけ(原作貸してしまったので確認できない)。なので、本当にすみれが馴れ合いや甘えている現状を変えたくて別れたみたいなイメージなんですけど。

五十嵐君は付き合ったら豹変するタイプだったのだろうか。まあ、スーが絵を描いている間は外で飲んでるとかやってる時点で「ダメだこいつ」とは思ったけど。奥さんが風邪で寝込んだら「俺は外で食べるから気にしないで」とか言っちゃうタイプっぽい(奥さんのご飯はどうする)。でも、最後にスーが仲良くしてる彼氏って五十嵐君のことだよね…? スーが飛び出して色々考えて変わったんだろうか。

舞台のことで言うと、最初の事件が起きてコウちゃんが突撃インタビュー(と言うと何かポジティブな響きだな)されてるシーン。普通に本役持ってる人達が記者役を兼ねていたのですが、一番厳しく追及しているのが環役のきりちゃんで「これが舞台の面白さだなあ」と思いながら観てました。

一番真ん中にいるけどお客さんには背を向けているんですよね(コウちゃんが客席側向いてるから)。なので、どんな表情をしているんだろうととても気になりました。大内さんだけが正面から見てる(はず)。ちょっと羨ましい。(でも背中しか見えない演技って好き)

幹永舞さんのネタばらしはわかりやすくなってて本当にありがたかった! 説明台詞だろうが何だろうが伝わる方が大事! 私、本当にビデオライブの時ぽかんとなって置いていかれたので…。あれは悲しかった…。

狩野君の「自分が作る話に毒を入れたくない」という気持ちが一番わかるような気がしました。あ、マサ君の「見終わって『面白かったー!』というだけの作品でいいじゃないか」(うろ覚え)もめっちゃわかる! 大事なことですよ。

あっ、忘れちゃいけない莉々亜ちゃん。加々美莉々亜ってすごい名前だ。ゴスロリ姿の玲衣ちゃんを生で見られて私は満足です。可愛かった! 個人的には黒莉々亜が好き。(衣装の話)

彼女がスロウハイツをかき乱したわけだけど、それも結局は黒木さんの差し金だからなあ。勝手に勘違いしたのは周りだし。それを利用しようとした(のと、そもそも勘違いさせようとした?)強かさはあるけども。

「世界と繋がりたい」ってのはみんなそうじゃない? だからパクツイとか無断転載とかが山程あるわけで。その辺りで彼女を責める権利はないというか。

というところまで書いて、他の本にも莉々亜が出ていると知って買って読みました。短編集『光待つ場所で』の中の『チハラトーコの物語』。これ読んだら、ちょっと動機が分かったような気がした。「コーキの天使ちゃんだよね?」って聞かれて肯定したのも、相手が喜ぶから、相手がそう望んでたから、なのかなあと。息を吸うように虚構を作り出すけど、本人の中では筋は通してたみたいだし。

『チハラトーコの物語』を読んだら『スロウハイツの神様』の印象もがらっと変わってしまった気がする、いい意味で。何を思って冬子ちゃんはスロウハイツにいたのかなと。原作読んでも莉々亜の結末がえらいぶった切りだと感じてたので、これを読んで何か納得しました。

「一緒にしないで」って怒られそうだけど、私は冬子ちゃん側だと思うから。環が羨ましいのです。いやまあ、環は環で大変なのはそうなんだけども。不器用だし。自分の限界以上に抱え込んじゃうし。あと、冬子ちゃんも私よりすごいと思う。一緒にしたら怒られる。

次は夏の『エンジェルボール』続編かな。『ナツヤスミ語辞典』観たかったなあ。