前半後半と書いていますが、「物語の」ではなく「感想の」なので、ストーリー的にはかなり順不同です。
ネタバレは盛大にしていますので、お気を付け下さい。
ということで後半。
早速、一番感動したシーンについて。
クライマックス。アンディーが下水道を抜けたあのシーンですよ。映画でももちろん印象的なシーンで、あれ(正確には所長が壁の穴を発見する瞬間から)を舞台でどう表現するのかとてもとても楽しみだったんですが。ついに外の世界に脱出したアンディーが舞台上でどうするのかと思ったら、何と客席に降りてきたという。
これはねえ、鳥肌立ちました。すごい演出だなと思いました。席が舞台に向かって左端だったんですが、アンディーが客席に降りて歩いてくるのがちょうど前から見える位置だったんですよ(で、割と目の前で曲がっていった)。もう本当に感動しました。
舞台って、基本的には舞台の上だけがその世界の全てじゃないですか。でも、その禁を破ってアンディーが降りてきた=自由を手に入れたことの象徴だと感じたんです。
壁の穴を発見するシーンはやっぱり映画の方がよかったけど、それ以外は舞台も遜色のない出来でしたよ。
ところで完全に余談ですが、アンディー役の成河さん、上記のシーンの舞台に降りる直前に汚れた服を脱ぎ捨てるんですが、背筋(『せすじ』じゃなくて『はいきん』)がバキバキでした。(迫真)
最初の刑務所に入るシーンでも囚人役の何人かが真っ裸にされるシーンがあるんですけど、やっぱり背筋バキバキでした。(あの中に畑中さんがいたのか確認できなかったのが悔しい)
やっぱり舞台俳優さんってすごいんだな…! 肉体勝負なんだな!
成河さんのアンディーは実はイメージと真逆でした…って、イメージが映画版のティム・ロビンスだからですが。WIKIを読んだ感じでは、小説のイメージはこっちだったのかもしれないですね。
それはさておき、本当に見に行ってよかったです。
もちろんレッド役の益岡徹さんも素晴らしかったし。レッドがやっぱり物語の背骨だし。
あー、レッドと言えば。映画を観た時はレッドが仮釈放されたのって(すごく簡単に言うと)「ちゃんと反省したことが理解されたから」だと思ってたんですけど、自分が歳も食って今回の舞台を観たら「再犯を犯す気力もないほど歳を食ってもう大丈夫と思われたから」かな(外で自殺する分には刑務所は関係ない)、と思いました。ブルックスの件も併せると余計に。そんな優しいもんじゃねえよ、みたいな。
ブルックスの役者さん凄かった。一番何の先入観もなく、途中でも揺らぐことなくキャラクターとして観ることができたのはこの役者さんでした。
あとね、セットも凄かった! あれが一体どうやって動いているのか、そしてどうやってあれだけ滑らかに転換しているのか、裏が見たくてなりません。あれはもはや装置ですよ、本当に。
そんで、ほとんどずっと刑務所の灰色の世界だったからこそ、最後のシーンがね。あれは本当に美しかったです。
転換と言えば役者さんの早着替えもね! 時間軸が初っぱなからあっちこっち移動するし、主役のお2人以外は複数の役を演じられるので、本当に舞台裏でどうなってるんだろうって。でも、観ている時はそんなこと気にせずただただ物語に没頭していたし。
だからね。だから舞台が好きなのです。
キャラメルボックス以外の舞台もとても興味はあるんですけど、なかなか行く機会を作れなくて。今回もキャラメルの俳優さん目当てではあったけど、でもキャラメルではない舞台を観られてとても新鮮でした。
来年は来年でたくさんキャラメルボックスを観に行かないといけないから大変なんですけどね!
(2014年の演目はこちら↓