一言で感想を述べると、「何かわからないけどめちゃくちゃ泣ける」作品でした。
元々、主演のベン・スティラーは結構好きでして。ただコメディ俳優のイメージだったので、今作の予告を見た時に「ベン・スティラーが真面目な映画に出てる!?」という驚きの方が大きかったんですよ。
で、そういうパターンってどうなのかなとちょっと敬遠してたんですけど、ネットでちらっと見た評判が割と好評だったので行ったわけです。
これは行ってよかった…本当によかった。
そしてこれは、今の年齢になってから観たからよかったんだとも思います。
主人公の名前がウォルター・ミティだったので「あれ?」と思ったんですが、1947年公開の『虹を掴む男』のリメイクだったんですね。(原題は『The Secret Life of Walter Mitty』)
と言っても、実は私はそっちで知ってたわけじゃなくて、(ちょっとややこしい話なんですが)演劇集団キャラメルボックスの公演『ジャングル・ジャンクション』の原作が、劇団ショーマの公演『ウォルター・ミティにさよなら』でして。(それもどっちも観てはいないんですが。前者はめちゃくちゃ行きたかったけど東京限定でした)
たぶん元ネタがあるんだろうなと思いながら気になって検索したら、そういったわけだったのです。
で、スティラーさんはずっと『虹を掴む男』のリメイクを希望していたそうで。確かに、その気持ちがスクリーンからすごく伝わってきました。観る前に事情は知らなかったけど、この作品をすごく大事にしてるんだなあと。
映像の作り方も丁寧だし、音楽もすごく合っていたし、そんなに派手ではない(と言って地味でもない)けどとても面白かったです。
物語としては、TRPGのキャンペーンにしたい感じ(笑)。目的を追いかけてあっちゃこっちゃ行くという。
先は割と読みやすいので、あんまり深読みせずに素直に観てほしいです。
最初に「泣ける」って書いちゃったけど、流石のスティラーさんなのでくすっと笑えるシーンもたくさんありますから。
そもそも、主人公の境遇とか空想癖とかが割と身につまされると言いますか。特に空想癖(笑)。
私はいつまで経っても空想してたいなあと思います。
それと同じくらい、主人公みたいに色々体験してみたい。あそこまでは思い切れないけど(苦笑)。
で、思い切ったから恰好良かったんですよね。もちろん主人公がだけど、それと同時に「ああ、ベン・スティラーってこんなに恰好良かったのか」としみじみ思いました。
ああ、あと写真家役のショーン・ペンもめちゃくちゃ恰好良かった! 当たり前なんだけど!
あと、ヒロイン役の女優さんも素敵だったし(アテレコかもしれないけど弾き語りシーンもあります)、その息子さん役の子もすごくよかったし(あまり出番ないのに一つ一つが印象的だった)。
LIFE社を買収した会社のヒゲさんもよかった。みんながみんな、この作品を大事にしてるんだなあと。
「やっぱり映画って面白いな」と思わされた作品でした。