ネコと紫の日記帳

ひたすら己の趣味の備忘録。読んで下さる方ありがとうございます。

キャラメルボックス『TRUTH 2014』(8/23・18時の回)

※ネタバレは全開なので注意

※初演・再演は未見です

2日連続で観て参りました。

あー…何か、春・夏と主役の畑中さんを堪能できてとにかく幸せです。春ももっかい観たかったなー。何で畑中さんあんなに恰好良いんだろう。ほんと好きすぎてたまらん。

そして、『TRUTH』を2日連続で観に行ったことにとても大きな意味がありました。流石に2日連続だと、覚えている状態でさらに新たな発見が色々できたし。しかも2階→1階だったので余計に。

とまあ、うだうだ書いても仕方ないのでここから下はネタバレ込みです。

 

この『TRUTH』、あらすじをちょいちょい読んだりして、実際にも観て、「色々な要素が入っている物語ではあるんだけど、結局どれが主軸なんだろう」と考えてまして。で最終的に、主軸は弦次郎と英之助の関係だったのかなと。私が泣いたのもそこだったし。

観る前は「国のため」とか「復讐」とかなのかなと色々想像してたんですよ。でも、突き詰めたらすごく単純なことのような気がして。「『隠し剣鬼の爪/盲目剣谺返し』は男女の物語だったと思うんだけど、『TRUTH』は(女性も出てはいるけど)男達の物語なんだな」と2日目を観てしみじみしたわけです。(『隠し剣鬼の爪』も今観たら、また前とは違う感想を抱くんだろうな)

それを一番感じたのが、弦次郎と英之助の関係だったわけで。

昨日は2階で今日は1階で観たんですけど、クライマックスの殺陣のシーンで、英之助さん、「弦次郎!」って叫んでたんですね(昨日は遠かったので気付けなかったです)。それも2回。だから、やっぱりあの場に本当に英之助さんがいたんだなと。(そもそもよく考えたら、「耳の聞こえないはずの弦次郎さんだけに聞こえる」時点でわかれよ自分←だから昨日は遠くて聞こえなかったんだった)

最初は鏡吾が後ろから襲いかかるところを呼んで助けて、2回目は不知火の破り方を思い出させる(たぶん)という。(昨日は弦次郎さんが自分で思い出したんだと思ってた)

だからさ…だから、やっぱりこの2人は親友なんだなと。

だからこそ弦次郎さんは自分の手で殺めてしまったことを許せなくて。

そんな弦次郎さんに英之助さんがラストシーンでかけた言葉がね、もう。

昨日も書いたけど、英之助さん本当にありがとう。

そして、鏡吾にはそんな存在はいなかったんだなと…。その辺はたぶん、涙を数えたらわかる気がするんですけど。今回の大内さんと多田君って、演じるに当たってその辺はお互いに踏まえたんでしょうか。

1回目は、時間軸もよく跳ぶ物語なのでストーリーを追うのに精一杯な部分もありましたが、2回目は鏡吾も弦次郎と同じくらい観てました。

1回目を観て家に帰った時に開幕直前コメントを全部観たんですけど(ネタバレしたくなかったので以下略)、大内さんの「(最後の方に『俺にはそんなものなかった』って言うんだけど)鏡吾には鏡吾なりのTRUTHがあったんだと思います」という言葉を聞いた時に泣けてしまいまして。

なので、2日目は鏡吾のTRUTHを探すつもりで観てました。答え合わせをしたいわけじゃないから具体的には書かないけど、何となく少しはわかったような気はします。

隼助も三郎太も虎太郎も好きですよ! 昨日も書いたけど、左東さんの隼助が特に。左東さん本当に芝居の幅が広すぎてすごい。それでいて、やってる役がほとんど好きと思わされるんですよ。でも、隼助は特に当たり役だったんじゃないかなあ。

鍛治本君(虎太郎)はやっぱり優しいなあと思った。ふじさんに対してもびしっと言わないし(笑)。唯一びしっと言ったシーンは初音さんの気持ちを汲んだものだったし。鏡吾を疑った理由も「隼助さんを斬ったから」だし。「自分じゃない他の人をちゃんと大事にできる」人なんだなというか。

三郎太は、彼は彼のTRUTH(それも国を想っての)に従って行動してたんだと思うので、それでぶつかるのは仕方のないことだなと。途中から鏡吾の謀略に巻き込まれちゃったのが、可哀想というか気の毒だったかな…。

帆平先生も超恰好良かったなあ。当たり前っちゃ当たり前なんだけど、刀を持った時の立ち姿が美しかったし、普段の佇まいもとても素敵でした。『TRUTH』の登場人物達を1本の木に例えると、帆平先生は幹ですね。

女性陣も御三方とも好きでした。加藤さんのニコ生での「初音も美緒も切ない」の意味を痛いほど実感しましたとも。

一番切なかったのは、美緒が「私にできることはもうないんですか?」と弦次郎に訊いて「ありますよ!」と言われて喜んだのに、頼まれたのが「初音に手紙を渡すこと」だった場面かな…。

そこで美緒ちゃんは、それでも弦次郎のためにすぐさま手紙を渡すために旅立つわけじゃないですか。その時残した言葉すら、弦次郎にとっては「初音さんとの思い出」なんだよなという。だけど、その時美緒ちゃんがその言葉を言ってくれたからこそ、弦次郎の心に少し光が射したんじゃないかなと感じた面もあり。

初音さんは弦次郎とのすれ違いが「あああっ(涙)」ってよろめきたくなるというか。運命に翻弄されまくったなあと…帰ってきた時はあんなに喜んでいたのに。いや、でも、きっとラストシーンのあの後から弦次郎さんと2人で幸せになるんだと信じたい。もちろん簡単な人生じゃないだろうけども。

ふじさんはやっぱり、美緒が持っていた手紙を匿って自分が渡しに行ったシーンが素敵でした。男気があるなあと(女性だけど)。

でもそれは、それまでのコミカルなシーンがあるからこそ、そこが生きるんですよね。だから虎太郎の家に集まっていた皆は、ふじさんに助けられてた面もあったんじゃないかな。そもそも、しょっちゅうご飯も食べさせてもらってたわけで、ねえ(笑)。それだけでかなりの心の拠り所じゃないですか。

突然ですがここで、「『TRUTH』表情の変化が好きだったシーンBEST3」。(気付いたのは全部2日目)

3位が、隼助が山岡に直訴しに来た時に、要望を受け入れたと見せかけつつ鏡吾と目を合わせながら「弦次郎を早く探せ」と命令する筒井君。目が完全に「殺せ」と言ってました。

2位が、鏡吾に対して「あー、ここで弦次郎を罠にかけて殺すと決意したのかな…」と思った場面なんだけど、どこだったっけ(汗)。皆が横溝を斬る斬る言い出して、でも弦次郎が止めて、だから。

たぶん、弦次郎が英之助に「斬り役は俺にやらせてくれ」と言う直前ですね。鏡吾の気持ちはあくまで予測なんですけども、すうっと冷たくなったように感じたんですよ。

1位が、(英之助と初音の仲を取り持とうとして立ち去った)弦次郎が初音さんに呼び止められて、筆談で会話した後、筆と紙を取り上げて振り返って歩き去る時の切ない表情。それまではすごく笑ってるのに、そんな顔してたんかいと…。どんだけ無理してたんや、あんた…。

(だって昔は初音さんと会うと顔が笑って仕方ないはずだったのに、この時は無理して笑ってたんだと思うと泣くしかない)

でも、弦次郎さん自身も言ってたけど、きっと本心は本心だったんですよね。自分じゃ幸せにできないから。だけど、親友になら託せるから。絶対幸せにしてくれると信じたから。

名前は知ってたけど何となく初演も再演も観る機会を作らなかった『TRUTH』。たぶんきっと、今回のために観てなかったんだなと思います。

昨日も書いたけど、初めて見る弦次郎が畑中さんで本当に本当に幸せでした。ありがとうございました。

秋も冬も(再演だけど)、私にとっては新しい畑中さんを観る予定です。とても楽しみにしています!