ネコと紫の日記帳

ひたすら己の趣味の備忘録。読んで下さる方ありがとうございます。

劇団Patch『SPECTER』再演・感想

(※完全ネタバレ注意)

(※ある程度わかっている前提の感想になっていると思います)

(※気になっている所から書いているのでとりとめがないです)

(※TRUMP・SPECTER・グランギニョルだけ観ている人間の感想です)

ということで観てきました、劇団Patchの『SPECTER』。TRUMPシリーズだけど作品によって色々なところでやっているので、『SPECTER』は劇団Patchだし、『LILIUM』はハロプロなんですよね。

キャスト発表された時に、昨夏にキャラメルボックスのゲストに来てくれた田中亨君のお名前があったので、それもあって観に行きたかったのです。有名どころでは刀ステのお小夜ちゃん(小夜左文字)役の納谷健君の名前もあり。あとは何といっても、初演の臥萬里役だった中山義紘さんがまさかのクラウス役にコンバート。「クラウスやで? そんなん楽しみしかないやん」っていう。

でも再演を観て一番好きなのは、今回の臥萬里である松井勇歩さんでした。初演ではヒューゴ役だったらしいけど、あまり覚えてない…すみません。

正直なこと言ってしまうけど、『SPECTER』は『グランギニョル』ほどには感情移入できなかったんですよね。前半が物語の情報として必要なのはわかるんだけど、お芝居としてはあまり楽しくないというか。

なので初演を映像で観た時は「なるほどね」くらいだったんですけど、今回は臥萬里が好きすぎました。何でだろう。あんまり初演と再演の違いもはっきりとは覚えてないんだけど。

あとクラウス。これを書いていいのか悪いのかわからないんだけど、中山さんのクラウスがナチュラルに陳内将君のクラウスに近かった。好きという意味で。無理に寄せたとかという印象ではなく。第一声を聴いた瞬間から「えっ、これ陳内君のクラウスじゃない?」って。御本人がそういうつもりじゃなかったら申し訳ないけど、でも何かすごく同一人物に思えたんですよ。

(ここからネタバレ)

 

感情移入できなかった要因の一つ。

やっぱりクラナッハが何考えてるかわからなかった。田中君の演技はめっちゃよかったけど(キャラメルで観た時と全然違う)、やっぱりクラナッハの気持ちが何一つわからない…。「全体的に感情が薄いだけで、ハリエットを大事に思ってないわけではなかったのか…?」と思うけど、結局ここに感情移入できないと、子であるソフィにもあまり愛着が湧かないというか。『グランギニョル』のダリおよびウルとの比較になっちゃうんだけど。

でも、ふと考えると、クラナッハとソフィが親子だっていうのは何か納得行くんですよ。ほら、2人とも感情を表に出すのが得意ではないじゃないですか。やっぱり遺伝子的に似てるのかなと。あと、この後ソフィが施設で育ったっていう話なんだけど、それもあまり上手くいってなかったのかなとか。もしそこで愛されて育ってたなら、たぶん『TRUMP』があんな結末じゃなかった気もするんですよね…。いや、最終的にはウルを大事に想ってたと思うんだけど、タイミング的にちょっと遅かったというか…。

あと、クラナッハはそれはそれとして、やることやってるんだから出産の時に行かないとかあり得ないと思うの。「やることはやってる」のが納得の行かない一つでもあります。まあでも、ハリエットが恋に盲目だったのかもしれない…。もしかしたらハリエットが誘ったんであって、クラナッハ的にはそこまで興味なかったのかもしれない…。(ぶっちゃけ愛情じゃなくて性欲からでもクラナッハから誘うようには見えないから)

ところで、この再演を観てやっとわかったのですが、これって要するに臥萬里の2つの名を、ハリエットとクラナッハの子と、ノームの2人が継いだ、という物語だったのですね。今更過ぎてすみません。

そして、15年(くらい?)後にあのクランで2人が再会するわけなので、「2代目臥萬里さん若作り過ぎない?」というのは散々言われていることではありますが。

(なので今回の再演では14歳の下川恭平さんがゲストで、かなり幼い感じになってましたね。すごくよかった。14歳でTRUMPシリーズ出られるなんてすごい。そして初演のノームが今回はヒューゴなんだ…マジかすげえ)

だから、あのクランで、どんな気持ちで2代目萬里はソフィを見てたんだろう。血が繋がっていないとはいえ、姉の子で。私、ただクラウスを監視しに来たんだと思ってたんだけど、むしろソフィを心配というか見守ってる方が大きかったんじゃないかなと思ったり。でも、ああなっちゃうんだよね…。ソフィとクラウスの未来っていつか描かれるんだろうか。(あ、一応『LILIUM』は未来なのかな。詳しく知らないけど)

さて主人公であるハンターコンビ! すごく好きでした! 臥萬里が好きだけど石舟もめっちゃ好きでした。そして、このお二人は殺陣もすごかった。でも殺陣を振り付けたのはカルロ役の星璃さんなんですよね。何それすごい。(『グランギニョル』の殺陣も死ぬほど好みだったのでどなたが振り付けたのかと思ったら清家利一さんで超納得)

殺陣じゃないけど、一番最初のキャストパレード(ダイジェスト+キャスト紹介みたいな場面)で下手から出てきた台に萬里が上手から走って飛び乗った瞬間から恰好良すぎて大変でした。萬里だけじゃなくてキャスパレ全体が恰好良くてそこで既に泣いた。

あと、序盤の会話で『グランギニョル』コンビのこともちょっと話題に出されてて泣いた…。あっちはあっちですげー大変だぞ…。

で、萬里。本当に恰好良すぎて終盤は泣かされました。自分が死ぬとしてもあの時ノームを守ることの方が大事で、今度はちゃんと守れたから、彼に後悔はなかったでしょうか。これが彼の幸せだったのだろうかと思うと切ないけど。めった刺しのシーンは残酷でしたね。

尖った萬里と、見守る石舟のコンビが好きすぎて。石舟側も掘り下げてほしくなってしまった。石舟とノーム=2代目萬里で物語が作れるのでは。

あー、あと、シャド→ローザ→カルロ→ハリエット→クラナッハなのも今回気付きました。主にローザ→カルロの部分ね(その前後ははっきり示されているので)。えぐいな。これだから狭いコミュニティは。(※私もそれで育ったからです)

何でそうなったのかをもう少し知りたくはあったけど、まあでもカルロは基本的に優しいから密かにモテるタイプの気がする。シャド→ローザは守ってあげたいからかなという気がするし。カルロ→ハリエットは幼なじみ的な感じかな? シャドは悲しかったなあ…。でも、どうしても「どんなに良い人でも恋愛対象として見られない」ってあるから、ローザの気持ちの方がわかる気はするねん…。

そういえば再演では、ハリエットとノームの父親であるロダン役が女性の方でびっくりしました。素敵でしたけども! けども、何か深い理由があるのか気になる。

忘れちゃいけない繭期4人組。今更だけど、白塗り&白い服なのは繭期を表しているんだろうか。(本当は見た目も別に変わらないはずだから。『TRUMP』を観るに)

バルトロメ最高でした。好き! 可愛かった! どうしても役者さんが好きだと役者さんとして見ちゃったりとか、それ以外でも役者さんと役が剥離して見える時があるのですが、バルトロメはバルトロメでした。

サトクリフは、サトクリフが納谷君だったのか! 観てる間は全然気付かなかった。お小夜ちゃんと真逆のキャラでしたな。役者さんってすげえ…。『グランギニョル』にいたのは未来が見える子でしたっけ?

グレコは、また別の作品で未来が語られる(語られた)のかなあ。

ヒューゴは…破壊衝動というか破滅的という風に私は捉えたんですけど、繭期の影響でそうなってるのかな。うーん。インパクトのあるキャラなんだけど、何ていうんだろう。わかり合いたかったというか。わかるかわからないかだと、ある意味『SPECTER』で一番わからない人。彼はどうしたかったんだろう。役者さんの意図が伝わらないとかいう意味ではなく、役者さんがやり切ったからこそヒューゴとはわかり合えないんだと思うというか。よくわからない書き方ですみません。

この4人の脱走も何か裏手引きがあったみたいで、それがなかったらクランの中で何だかんだありつつも繭期を終えて幸せに暮らしたんじゃないかと思うと割と辛い…。

ということで、私のTRUMPシリーズ初・生観劇でした。ご清聴(?)ありがとうございました。