ネコと紫の日記帳

ひたすら己の趣味の備忘録。読んで下さる方ありがとうございます。

舞台『いま、会いにゆきます』

(※原作あるしメディア化されてるしなので、割とネタバレしてます。お気を付け下さい)
(あくまで自分用の感想です)

 

観てきました。理由は、浅沼晋太郎さんが主役だったのが一番で、大阪しか上演がなかったことが二番です。
そうです、ついに生・浅沼さんを観てきましたー! お名前は随分前から存じてたけど人としてしっかり認識したのがヒプマイで、イベントとかあっても大体東京だから現地は端から諦めてて(いつか行きたいとは思ってるけど)、でも(浅沼さんに限らないけど)現地で拝見したいとはもちろん思ってて、ついにその機会が来たというね! それがまさか演劇になるとは夢にも思いませんでした!
チケットも一般で買ったのに8列目という良席だし、一瞬「売れてない……?」と心配になったけど、劇場に行ったらちゃんと後ろまで埋まっていてよかったです。私は舞台に向かって右端とはいえ、浅沼さんの表情がしっかり見える距離で最高の体験でした。ありがたすぎて泣いちゃう。
パンフレットを買って読んだところによると、この世界的パンデミックのせいで2回延期されて、さらに本来は母の日に上演したかったけどこの時季になったそうで。でも、個人的にはこの雨の季節に上演されたからこそよかったような気がします。行きも帰りも軽く雨が降っていたので物語の世界と地続きに感じたし。
ちゃんと雨の季節の物語だとわかっていたので、紫陽花のネイルシールと雨傘のピアスを着けていった私を褒めてほしい。(そういうところからコンセントレーションを高めるのが好き)

 

でね、確かに浅沼さんが観れたのが本当に本当に嬉しかったんですけど、でも演劇としてもとてもよかったんですよ。
巧の息子の佑司役は本当に小学生の子だし(流石に設定年齢=小1よりは大きな子だけど。あと何と女の子でした)、若手からベテランまで色々な役者さん達がいたし、アンサンブルも贅沢に使われていまして、いつも観ている演劇とはやっぱり少し違いました。良い意味で! どういう風に集められた皆様だったんだろう。(浅沼さんはオファーだと思うんだけど)
物語に関しては、原作は読んだような気がするけどほぼ覚えてなくて、映画はチラ見で、ドラマは知らないという何とも申し訳ない客でした。だからこそ「もういっそ知らんままで行こう」と思ったのもあるんですけど。ただ、一番の核心は憶えていたので物語が「そこ」へ向かって収束することは最初からわかって観ていました。
物語をほぼ覚えていなかったけど、キャストが(たぶん)全員出てくるオープニング(めっちゃ素敵でした)でちゃんと高校生の頃の澪が巧を見つめているのは発見しましたよ! その時は「誰かしら」くらいの気持ちでしたけども!
この高校生の頃の話が現在の合間合間に挟まってくるんですけど、これも前半は巧視点からのクライマックスで澪視点になって謎が解き明かされていく疾走感が気持ちよかったですね。その高校生の巧を演じていた安藤夢叶さんが素晴らしくてね! 割と本当に浅沼さんが演じる巧の過去という風に見えたんですよ。現在の巧がベンチに寝転んだところから回想シーンに入る演出があったんだけど、同じ角度で同じ様に高校生の巧も寝転んでてね。ここすごい好きでした。ちょっと喋り方とかも寄せてたのかな。

ただ正直に言うと、巧と澪(役名)が何故お互いを好きになったのか、のきっかけがよくわからなかったんだけど原作読んだらわかるのかな。
巧→澪は「席が隣だったから」というシンプルな理由だったのかなと思うけど、澪→巧は巧より先に想ってたぽいから、やっぱり何かそうなる出来事が何かほしいというか。(原作読めばわかるならすみません。近い内に買いに行きます)
あとこれは自分の考えの整理なんだけど、まず澪は20歳の頃に(こちらに気付いていない巧を追いかけて)事故にあって未来に飛んだけど、肉体ごと飛んだわけではないですよね。たぶん精神(魂)だけが飛んだ的な。未来で過ごしたのは6週間だけど、意識不明だったのは1週間でしたっけ?
で、物語の終盤で巧が「記憶が戻ったの?」って尋ねるシーンがあったと思うんですけど、澪は何て答えてたっけな……。あれは魂的に20歳くらいなら本当は記憶が戻ったわけではないよなと今更思ったり。(2回観に行けばよかったけど流石に無理だった)
だからね、カーテンコールの2回目か3回目で澪役の川村那月さんが高校生の澪役の古賀柚奈さんを(一瞬だけど)抱きしめるのが見えて泣いちゃった。いやだって、時系列で考えたら本来は古賀さんの姿で巧と佑司の前に現れてるわけじゃない? 川村さんは「母になった後の澪」のイメージだと思うし。
そうか、だから舞台だと28歳の澪が出るシーンってないんだっけ? うわー、上手く説明できないけどこういう舞台だからこその見せ方好き。めちゃくちゃ好き。言い方悪いけどお客さんをちょっと騙すというかミスリードさせる的なね。
あー、澪で言うとね!? 澪というか佑司なんだけど、ずっと佑司がランドセルの留め具を留めないで行こうとするのを澪が閉めてあげてたんだけど、最後の最後に佑司が自分で閉めたところで泣きました! いやもう大体泣いてたけど! 何ならオープニングでわけもわからず涙ぐんでたけど!
佑司君めちゃくちゃよかったよ……。Wキャストの片方しか観られなかったのですが、何かもうナチュラルに息子さんでした。

あとは、巧と佑司と澪を取り巻く人々もみんな素敵でね。個人的にはノンブル先生と、勤務先(司法書士事務所?)の手塚君が好きでした。
手塚君は、あれは永瀬さんを好きという認識でいいのかな? 私がついついそういう目で見てしまうんですけども。だから手塚君→永瀬さん→巧かなと感じたんですけど。永瀬さん→巧は間違いないけど、でもここがくっつくことはないんだろうなあ。でも、少しずつ事務所内の人間関係が良い意味で変わっていくのが好きでした。所長だけは謎のままだったけど(笑)、でもこういう人だから巧が働き続けられたってことなのかな。


ということで、浅沼さんの話に戻りますが。AD-LIVEの映像もちょっと観たことあったけど、あれはまあ特殊じゃないですか(笑)。私が観たのは確かメイドだったし。
でも今回の役柄はあくまで一般男性でね。あと、主人公だから語り役も含まれるかどうかもあるし、どういう風に台詞を話されるのか色々想像してとても楽しみにしていたんですよ。
答え合わせとしては、ものすごくナチュラルだったので「あー、なるほどな!?」となりました。本当に、ヒプ生とかで聴く感じの話し方で台詞を喋っているというか。普段よりもう少し穏やかではあったけど。
なんかねー、それがめちゃくちゃよくてですね。知ってる喋り方だったけど知らない浅沼さんだったんですよね。こんな体験してよかったのかな、私。
好きだったところは、川村さん演じる澪と舞台の上の方で背中合わせになって、下にいる高校生の頃の巧(=自分)と澪を見ているシーンがあったんですけど(巧が澪に話して聞かせている体)、高校生の頃の巧が喋っている時は視線を外していて澪が話すと見つめるんですよね。それが背中合わせの澪も同じで。何か上手く言えないけどそこがめちゃくちゃ好きだったんですよ。いやもちろん他にも色々あるけどね!?
ちょっとシーンの隙間でも佑司と手を繋いでるのも好きだったし、飄々として見えるんだけど生きづらそうみたいなところがナチュラルだったんですよね。

この舞台は何と配信も映像化もないそうで(めちゃくちゃ希望があったらわからないけど)、本当に貴重な体験をさせてもらったんだなあと。勢いつけて観劇してほんとうによかったです。ありがとうございました!