ネコと紫の日記帳

ひたすら己の趣味の備忘録。読んで下さる方ありがとうございます。

キャラメルボックス『容疑者Xの献身』再演。

観てきました。(妹・弟2と6/10に)

そしてネタバレ全開で無闇に長い感想を書きます!

 

 

個人的には完全に近江谷さん(元キャラメル)目当てでした。一応、原作も映画も知ってる人間ですが、そんなにめちゃくちゃ作品のファンというわけではなく。(堤さんがすごいとは思ってたけど。あと初演は観てません)

今回の演劇版を観ても、やっぱり「作品のファン」ではないなと(ファンの方ごめんなさい)。話も重いし、観てて辛いシーンもあるし(※殺人シーンではない)。本当にただの個人的希望だけど、キャラメルに求めてるのはこれじゃないんだという。(だからと言って、決して「やらないでほしい」とかクレーム付けたいわけではないですよ!・汗)

そうだな、やっぱり近江谷さんだから行ったんだな。そんで、その期待をかけらも裏切られることなく、素晴らしいお芝居を見せて頂きました。それは近江谷さんだけじゃなくて、もちろん達也さんも客演の西牟田さんも川原さんも小林さんも。

本当の本当に、話が重くて(妹も初演を観て『泣くより納得した』って言ってたし)「今日は泣かないかな」と思ってたけど(これしょっちゅう書いてるな)、最後の方の引越挨拶の回想シーンでほろっと来て、ラストシーンの石神の慟哭で号泣しました。本当に慟哭でしたね…。

西川さんの時(初演)は、最後の靖子が駆けつけたシーンで少しやり取りがあったそうですが、今回はなくて。でも、「近江谷さんはなくてよかった!」が弟2との共通見解。もうあの表情だけで何もかも伝わってきました。やばい、思い出すだけで涙出てくる。

実を言うと舞台でしか近江谷さんを拝見してないんですけど大好きで、今日のお芝居でもっともっと好きになりました。もう見た目から完全に石神なんですもん。ポスターとかでは恰好いいダンディなのに、あんなにばっさり髪を切ってくるとは…!

 

歌にしてもお芝居にしてもスポーツにしても、生で観るのって一瞬のきらめきですよね…。でも、その一瞬のきらめきのために会場に行ってるんだと思います。どうにかしてそれを捕まえるために。手で触れたり目に見える形では何も残らないんだけど、でも確かに何かが残ってるという。天体ショーにしてもそうだけど、自分の目で見ないとだめなんだよやっぱり。

あと、今日しみじみ感じたのが、お客さんも舞台を作ってるんだなと。例えば今回の舞台だったら、本当に息もできないくらいの緊張感が漂ってたわけですよ。そこで、少しでも客席から何か起きちゃったら(着信音が鳴るとか)本当に舞台が壊れるじゃないですか。だけど、みんな息を潜めて、真剣に舞台を見守ってて。

お金を払ってる以上、こっちも責任持って観ないとなあ、と改めて実感しました。お金払ってるのに自分のせいで楽しめなかったら意味ないし。

 

舞台は相変わらず回っていました。席に着いて舞台を見た時に「これが回るの!? いやいやそんなはずは」と思ってたので(苦笑)、回ってびっくり。相変わらず舞台装置が凄いなあ。

それに加えて、今日はシリアスだったので特に感じたんですが「こんなに場面転換が綺麗だったのか!」と。流れるような美しさですよ、本当に。めちゃくちゃ練習してるんだろうなあ。もう、あの靖子と石神の部屋がホームレスの住居になっていった時の衝撃といったら。

 

この辺は既にいろんな方が散々語られていると思いますが。

結局のところ、湯川も靖子も石神の願いを踏みにじったんだよな、突き詰めると。でも、その願いが成就することが、本当に石神のためになったんだろうか。

湯川は、そうじゃないと思ったから、靖子に話したのかな。石神は望んでいないとわかっていつつも。

この話の何が嫌かって(本気で嫌いってわけじゃないけど)、どこまで遡ってもバッドエンドしか思いつかないところ。「こんな悲しい結末しかなかったの?」と思って遡っても、少なくとも私の頭ではやっぱり回避できない。やっぱり、「最初の時点で自首」が一番よかったんだろうな…。いろんな偶然が石神の邪魔をしたのもあったけど(その最大が湯川じゃないかと)。

そして、途中の「石神も悪なの?」と思わせた部分すら『献身』だったという。何か初めて、タイトルの『献身』の意味がわかった気がしました。

 

ていうかさ。このお話が舞台なんですよ!? 毎回、生の真剣勝負なんですよ!? 役者さんが凄すぎる…!

達也さんがあれだけ早口なのにちゃんと台詞が聞き取れるし(これは前方の席に座れたのもあるだろうけど)、達也さんに限らずあんなに台詞が多いのに、ちゃんと2時間で終わるという。当たり前っちゃ当たり前だけど、でも台詞を覚えて演技ができるって本当に凄いです。

 

でも、本当に観てて辛かった。筒井君と綾ちゃんと理恵さんが心の支えでした(苦笑)。女の子に横四方固めされたら惚れちゃうよね!?(だからどんな状況だ>筒井君ネタ。川原さんの無茶振りも凄かったなあ・笑)

理恵さんは、個人的には今でもめっちゃヒロインやってほしいです。(最近DVDで観たものでは『スキップ』とか『スケッチブック・ボイジャー』とか大好き。特に後者)

西牟田さんはめちゃくちゃ綺麗でした。じっきーと本当に親子のようだったし。女性として、母として、揺れ動く心がむちゃくちゃ見えました。

川原さんは言わずもがなのベテランだし(『相棒』観てないけど…)、個人的には小林さんの草薙刑事がすごく好きでした。一番、等身大の人間ぽく感じられたので。

 

総括すると、映画ファンの方にはわからないけど、原作ファンの方には間違いなくお薦めしたい作品です。

 

 

ところで、上演前マナームービーが今回は翌公演『アルジャーノンに花束を』の主役ダブルキャストの丈二さんと多田さんだったんですが、これが大変面白かったです。生でネギをめいっぱい齧るとか、相変わらず体張ってるよ丈二さん…(笑)。