ネコと紫の日記帳

ひたすら己の趣味の備忘録。読んで下さる方ありがとうございます。

キャラメルボックス『バイ・バイ・ブラックバード』

多田君目当てで妹からDVDを借りて観ました。(真顔)

で、観た感想は、その「多田君目当て」という意味でも満足だけど、何かね…観終わってしばらく鳥肌が止まらなかったです。面白かったんだけどそれは切ないという意味で、でもその切なさが大好きで、すごく打ちのめされたというか。打ちのめされたと言っても決して嫌な意味ではなくて。

1周目観終わって、即行コメンタリーで2周目を観たんですけど、「ダンスシーンが評判良かった」とあって超納得。1つ目のダンスシーンでぞわぞわと切なくなって、2つ目のダンスシーン(写真撮るやつ)で訳もわからずぼろぼろ泣きました。

2つ目はさー、3人が記憶を失う前と失った後の表情の違いが全てを伝えすぎてて。2回観たけど2回目の方が泣けて泣けて仕方ない。このシーンの『One Way』あかんって、ずるいって。

すごいなあ。すごいなあ。

客演の方ももう退団してしまった方もいらっしゃるけど、この作品はこのメンバーがベストメンバーのような気がする。

AIRの曲もめちゃくちゃ合ってました。この有り余るほどの切なさに。私が好きな側の車谷さんなんだ。実を言うと『夏の色を探しに』も『One Way』もリアルタイムで全く聴いてなかったけど(AIRは途中までしか追いかけられなかった。でも『Last Dance』は聴いてて好きだった)、今聴いて今更本気で染み入ってます。

 

多田君は堪能しましたよ、堪能しましたとも。西川さんと親子役だったんだなあ、何という素敵な光景。西川さんはいろんな人のお父さんだー。

しかもお母さんが森めぐさんだよ!(当時24歳くらいだそうな) すげえ! コメンタリーで仰ってた後妻設定(捏造)にちょっと笑ってしまった。

初めてお父さんが出てきたシーンの、後ろで若干ふてくされてる真鍋君(役名)が好きすぎる。あと、もう1つめちゃくちゃ表情が好きなシーンがあったんだけど、どこだったっけな。

(たぶん由紀人さんに○○○って言われた後、場面転換する時の「気にしないようにしてるけど、やっぱり不安を抱いている顔」のような気がする。

 ↑正確には、ナツカに「真鍋君は人を傷付けるような人じゃない」と言われた後の泣き笑いみたいな表情でした)

 

あー、これ『サンタクロースが歌ってくれた2010』と同じ年だったんだ。『サンタ~』懐かしい。私の中の大事な大事な思い出。

 

あ、もうネタバレなしで語るの無理(笑)。

 

 

途中までね、『ヒトミ』再々演の逆かと思ってたんですよ。『ヒトミ』は多田君がじっきーを追いかけてたけど、今作はじっきーが多田君を追いかけるのかなと。いや実際、途中まではそうだったんだけど。

そんで、普段はネタバレも先読みも好きじゃないので、基本的には視界に入ってくるものを本当にただただ素直に受け止めようと思ってるんですけど、物語が後半の後半まで進んだ頃に、ふとそこに置いていたDVDの裏ジャケットが目に入っちゃったんですよ。

「あれ? じっきーのこの衣装(ピンク)まだ見てない…」と思った瞬間に何かを察してしまいました(苦笑)。でも、逆にすごいと思った。だって、その方向は全く予想してませんでしたもん。

2周目を観ながら「あー、本当だー!」とか「ダンスシーンのそこはそういう意味だったのか!」とか独りで心の中で絶叫しまくりですよ。

安西さんに怒るところも、安西さんの奥さんの気持ちがわかるからあんなに怒ったのか、とか。

あー、もう、大内さんすごいなあ。

(その話とはちょっとずれるけど)「馬鹿にするな。俺はお前の担任だ」が恰好良すぎる。

気付く人は途中で気付くもんなのかな。と思ってコメンタリーを聞いてたら、やっぱり気付いた人と気付かなかった人と両方いたみたいでちょっと安心。

 

でも、それを仕向けたのは小多田君演じるお兄ちゃんだったんだなあと。つまり、最初のシーンから既に伏線張りまくりなんですよね。最初に伏線を張るのに、回収するのが最後の最後という。

沢野先生(大内さん)がナツカ(じっきー)を送り届けた時も、お兄ちゃん夫妻はわかっててああいう態度だったんだなとわかると面白すぎて! この奥さん役の綾ちゃんめっちゃ好きです。

 

ところで、真鍋君は真鍋君でナツカのことを好きになってたんじゃないか、と邪推。だって、ラストの赤い灯台をナツカに教えた時の(「俺も一緒に行こうか?」の後、柔らかく断られて)「…わかった。頑張れよ!」っていう時の顔がめちゃくちゃ優しかったから。

てか、最初から観たらこれ明らかに一目惚れのような。だったらいいな、ってだけだけど。だって、別に気にならない子だったら電話番号をわざわざ嘘ついてまで調べないでしょ!? しかも出会ったその日に!

多田君、可愛い…可愛すぎる…!(床を叩きながら)

でも、上手く伝えるのが難しいけど、真鍋君を多田君がやったからこそ真鍋君が魅力的になったんだろうなあと思う。多田君って基本的に陰のある人だから。悪い意味ではなく。

 

安西さんもすごくよかった。ストーリーとしての一連の流れも、そして演じている有馬自由さんも。いや、さつきさんも井上麻美子さんも含めて16歳を演じている役者さんみんなよかったんだけど。

いろんな世代が16歳を演じてるという…そして、本当に16歳なんですよ。(一部でも)思い出したら16歳じゃなくなるんですよ。役者さんすごい。

 

あー…だめだ。何か、この作品はあんまり言葉を並べたくないかも(って、こんだけ書いといてか)。

鍵泥棒のメソッド』は好きだからこそあれだけ感想を書きたかったけど、『バイ・バイ・ブラックバード』は好きだからこそあまり言いたくない。

思い出す度に切なくて胸が締め付けられる、こんな物語も大好きです。

私は基本的には「記憶を失った人」達に感情移入して観てました。理由はわからないけど。

とりあえずもっかい観よう。絶対観よう。

 

 

7/20追記。

たぶんこの作品、「何かを喪って決して戻らない」悲しみに同じ立場から触れてくれるからこんなに好きになったんだろうな。

だから、上演された2010年に観てもこんなに心震えなかったと思う。

実を言うと『鍵泥棒のメソッド』と『TRUTH』の間にワンクッション置けてよかった。

あと観たのが夏でよかった。個人的に夏は悲しい季節なので。

ちなみに1週間で4回観ました。(真顔)