ネコと紫の日記帳

ひたすら己の趣味の備忘録。読んで下さる方ありがとうございます。

キャラメルボックス『無伴奏ソナタ』再演観てきました・2

(初演・DVDは未見です)

台風の真っ直中を突っ切って行ってきました。JR西日本さん・阪急電車さん・大阪市営地下鉄さんありがとう、マジでありがとう。

ちなみに昨日1回目観て、帰ってきて劇場で買った原作をざっと読んで、もっかい今日観てきました。

そんで、今までで一番何も書かなくていいかもしれない。

(実際に書かないでいると記憶からなくなっちゃうので多少は書くけど)

好きかと訊かれるとちょっと悩むけど、観たこと自体に後悔は微塵もないです。この作品の多田君を観られたことが本当に幸せ。しかも、初演時はまだあんまり多田君のこと知らなかったので、彼を好きになっている今のタイミングで観られたことがよかったです。

作品の印象としては(あくまで印象)、上演時間が約2時間中の、1時間50分潜水してて最後の10分でやっと息継ぎできて、呼吸できることの幸せを感じるみたいな。そんな感じでした。

ここから下はネタバレを含みます。

 

本当の本当に一番最初のシーン。みんなでベルを鳴らすシーン。照明も含めて美しすぎだったんですが、どういう意味だったのかなー…。

ただの個人的考察としては、これからのクリスチャンの運命というか人生を表しているのかなと感じたんですが。周りがどんなに和音・不協和音になっても、彼だけは結局、彼の音を貫いて生きていくというか。

わかんないけどね、推測だけどね。

昨日はこの物語をハッピーエンドだと書いて、その気持ちに2回目を観た今も変わりはないけど、クリスチャンの幸せって本当はどこ(どれ)だったのかな…という振り返りはちょっとある。

ただ、加藤さんは「音楽しかない男から音楽が奪われたら」という風に紹介されてた気がするんだけど、実際に芝居を観た私の結論としては、「クリスチャンから音楽を奪うことなどできなかった」かなと。

あとねあとね、ちょっと面倒臭いこと書くけど。クリスチャンは音楽を禁じられたけど、法を犯すことになってもあんなに傷付けられても音楽から離れることはできなかったじゃないですか。

それと同じように、例えば「とある物語を大多数の人が面白いと言ってるからって、自分まで面白いと言わなくてもいい」と考えるわけです。もちろん逆も然り。

もし言わなければならないのなら、それこそ『無伴奏ソナタ』の世界の法律のようだなと。

何て言うんだろう…この作品が提示する「本当の幸せ」って魂の自由のことなんじゃないかな、というか。

文字にすると何か薄っぺらくてすみません。

クリスチャンをメイカーにする、と決断したのはお父さんで、そしてウォッチャーとクリスチャンの関係もまた、父と子のようなものだったなと感じてたり。

そして、お父さんとウォッチャーの2役を同じ人=石橋さんが演じられるという。この配役が絶妙すぎて。

でも、どっちも原作にはそんなことただの一言も書いていないんですけどね。(悪い意味ではなく)

あー、あと、原作でそこまで考えられてたかどうかはわからないけど、本当に音楽を奪いたかったら失聴させればよかったのにって(それでもクリスチャンは何かしらやったかもしれないけど)。そうしなかったのは、同じ立場だったウォッチャーのぎりぎりの優しさなのかなと。

この短編を2時間の芝居にしようと思った成井さんがすごい。

たぶん、この作品は、観ている側より演じる側の方が幸せな気がします。

ここから完全に自分の妄想。

クリスチャンにレコーダーを渡したリスナーも、実は相当な処罰をされたんじゃないだろうか、と。

ウォッチャーがクリスチャンの元に来た時点で、既に原因究明されてるような気がするんですよね。だって、世界の宝であるメイカーに異変が起きたらそりゃ調査するに決まってるじゃないですか。で、リスナーがメイカーに話しかけるのも「禁じられてる」わけで。法律を犯したら処罰される訳で。

そのことは、あのリスナーもわかってるはずなんですよ。絶対。

そんな危険を犯してまで、クリスチャンに伝えたかったことって何だったんだろう。って、実は今も気になってます。

小多田君はリスナーの時もジョーの時もすごく良かった。

あー、あと、『シュガーの歌』って(あくまでお芝居の中では)作詞もクリスチャンがしてると思うんだけど、出だしって彼の想像なのかなあ、と…。観客からはわかってることだけど、クリスチャン自身は2歳で引き離されたんだから憶えてないんじゃないかと思って…いや、それとももしかして憶えてたのかな。

想像だったら泣けるな、って言いたかったんですけど、憶えてたんだったらそれはそれで泣けますね。

大阪千秋楽三本締めの流れ。(大体です)

多田君「三本締め担当は小多田君です!」→客席拍手…からのタン! タタタン!で(ジョーの姿の)小多田君がエプロンを上げると「完」の文字→予想通り話が長い。客席の傍に立つ加藤さんから手で「巻きで! 巻きで!」の指示を華麗にスルー→「今日は大変タイトなスケジュールでして。ここにいるみんなを今日中に新幹線に乗せないといけないわけです。まあ、僕は大阪の実家に戻るんですが」→ようやく三本締め→3回目のタタタン! タタタン! タタタンタン!が終わった瞬間にスクリーンに「完」(客席「おおー」)→「KAN」(客席「???」)→「愛は勝つ」(客席爆笑)→流れ出す前奏(客席は超手拍子)→さあ歌い出す!というところで突然前に出る(小多田君の隣にいた)左東さん→スクリーン「お前が歌うんかい!」→みんな笑顔で客席を通っての退場

でした(笑)。(台風だったので各キャストの一言コメントはなし)

終わった直後の多田君の「(ポケットから紙を出して)インフォメーションです。JRは予定通り止まりました」も思わず笑っちゃいましたね。

あんなお芝居を観た後とは思えない和やかなムードでした。それがすごく嬉しかったです。

そんなに書かないでいいと言いつつ結局長かったですね。

さあ、次は来月だ!(えっ、もう来月?)

その前に『駆けぬける風のように』もあった! こんなに舞台に行きまくってる自分が怖い!(汗)